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キーマンをうならせる効果的な「試供品の渡し方」と「効果」とは?

ゴンザレス

百貨店の化粧品売り場で女房の化粧品見とったらわしにまで化粧品サンプルくれてのお。連れには言えんがアイクリームにハマってもうたわ。
・・・。おっちゃん・・・笑

玉五郎

最近面白いことがありました。

母の化粧品の買い物について行った父が、母と一緒に化粧品の無料サンプルをもらって帰ってきたのです。化粧品サンプルに興味のあるタイプの父ではないと思っていたのですが、小さいアイクリームのサンプルを4日間に分けて嬉しそうに塗っていました。(笑)

化粧品売り場のお姉さん、やり手です。母は専業主婦であるため、高い化粧品を買ってもらえるかどうかはキーマンである父の気持ちをいかに掴めるかにかかっています。営業活動では、決定権のあるお金の出どころである「キーマン」を押さえるのが鉄則です。

試供品や無料サンプルの渡し方に「当たり前」はない

一般的に、買ってほしい商品のサンプルや試供品を買って欲しい消費者に差し上げるのが「商品サンプル」の基本だと考えられます。しかし、そうしなければならない決まりがある訳ではありませんし様々な渡し方が考えられます。

何事もそうですが、考え方に「当たり前」を作ると損をすることがあります。

世の中のニーズが物凄いスピードで変化する時代であるのがその理由です。

想定外の所に増収増益への糸口が潜んでいるということも

押さえておきたいポイントです。

ターゲットはあくまで仮のターゲット

効果的な手法は絶対にこれなんだ!と思いこまず、最初はその手法を信じてやってみて、やってみた結果を評価し、手法が間違っていないか考察した上で、次の一歩を踏み出す柔軟性が大切だと言えます。

会社や組織で決めた消費者ターゲットはあくまで仮りのターゲットであると考え、実践して得られた見識を反映し、目標とするターゲットの情報を肉付けしたり変更したりしてみてください。

大胆な変え方をする経営者もいれば、慎重に少しずつ変更する経営者もいます。これらの違いが各社のカラーに繋がってきますので、ターゲットの変更手法に固執する必要はないと思います。

試供品を渡すベストなタイミング

試供品をお客様が帰られる直前に渡すのはもったいないです。ぜひ以下のタイミングで渡してみてください。

試供品を渡したいタイミング

  • 店内で接客待ちをされているお客様がいらっしゃるとき(お待ちの間の時間つぶし)
  • お客様が商品を買おうか迷ってから決断までに時間がかかっている時(「これも欲しいけど今日はやめとこうかな」と口にされたタイミングなど)
  • 「何か面白いものある?」と聞かれたとき
  • 試供品に似た商品を吟味していらっしゃるとき

お客様が帰られる直前に商品サンプルをお渡しするとその日の購買には中々繋がりません。

お客様が帰られる直前に渡すとメリットが薄くなる理由

  1. サンプルを渡してから次回来店されるまでの間に、現在の新作商品は新作ではなくなってしまいます。新作というプレミア価値をなくすのはもったいないです。
  2. 情報過多の今、お客様がインターネットでサンプルの類似商品を発見し、その商品の値段がサンプル提供商品より安かった場合、他社の製品を購入されてしまい、自社の売り上げ貢献を目的に作った試供品サンプルが他社の売り上げに貢献してしまうということもあります。

お財布のひもを開こうとしているお客様が店内に滞在されている間にお渡ししてみるのはいかがでしょうか。お客様の邪魔をしないように渡すのがポイントです。そもそも、店内に足を運ばれたお客様は興味があって来店されているため、試供品やサンプルは基本的にもらって嬉しいものかと存じます。

購入する商品に悩んでいるお客様への試供品ワザ

お客様が購入する商品を悩まれている時は、他の商品との比較情報やCMやネットで話題になっているという情報、芸能人御用達であることや自身が使ってみての感想などを話されると思います。

悩んでいる商品の選択肢が1つか2つの場合は、ぜひ悩まれている商品との関連性を話題にしながら試供品をお渡ししてみてください。人は選択肢が多くなるほど決断しづらくなって購入すらしてくれなくなります。悩んでいる商品が多いお客様には別の方法で試供品をお渡しするのがベストです。

※ジャムの法則:選びきれないほどの選択肢があるより、多くとも5,6点の選択肢までに絞る方が購買確率が上がる法則。

商品サンプル・試供品の数多くの効果

「今日ご購入いただいたお客様全員にこれ配っといて、とりあえずなくなるまでね。」という指示を受けて販売員が試供品を配ることも少なくありません。商品サンプル・試供品の数多くの効果を知ればこんな指示は出さないはずです。最低限の知識を頭に入れて売り上げ向上ツールとして活用しましょう。

試供品メリット①|「知る」と好きになる

名前も特性も知らないものを好きになることはできません。見た目や使う事のメリット、費用感など、その商品を取り巻く多くの魅力に納得した人が商品を購入します。

好きになってもらうために知ってもらう。このための役割を商品サンプルに担ってもらうのが一つです。

試供品メリット②|体験しないと分からないことを伝えるツール

言葉では説明し難い香りや柔らかさ・硬さなどの触覚に訴えるもの、使い心地等は一般的な広告では伝わりません。広告では手の届かないところに手が届くのが商品サンプル・試供品利用の良いところです。

試供品メリット③|他商品の購買意欲UP

お渡しする試供品を買ってもらうことだけが試供品の目的ではありません。いつもの定番商品やお客様が来店される目的となった商品を購入していただく確率を高めるツールにもなります。

人は、自分に良くしてくれている人を「良い人」だと思います。

興味のあるお店で商品サンプルをもらえるのはお客様にとって良いことです。この「良い人効果」が発揮されると試供品の商品に興味がなくても、試供品をもらった消費者はその店の商品を「買おうかな」と思いやすくなります。

試供品を渡すタイミングで定番商品と新作商品との関係性を話す手法もあります。新作商品がそのお客様のお気に召さなくても定番商品をPRしておけばいつも通り定番商品を買って頂ける可能性があるからです。

試供品メリット④|再来店効果

「毎回何かしらの試供品をもらえるからこの店に通おう」と思っているお客様も一定数います。来店頻度を上げるためのツールにもなるのが試供品の良いところ。試供品の見た目、包装の仕方も工夫してみるとより効果が上がります。

MEMO

百貨店等の販売員をした経験があるのですが、常に忙しいということはあまりなく、ピーク以外の時間は店内の整理や在庫チェック、お得意様へのDM作成などに時間を費やしていました。

このような時間のあるときに、試供品の配り方について同僚と話して見たり、魅力的に包装してみると時間も有効に使えると思います。

お帰り前に「サンプルの感想、また教えてくださいね」「サンプルもぜひ使ってみてくださいね」と一言添えるとより良いです。

試供品メリット⑤|真新しさの演出

商品の真新しさだけでなく、サンプルが入っている容器の新鮮さもアピールポイントとなります。先日見た就寝時に使える香水のサンプルで面白かったのが、小さいプラスチックの袋の先に小さなスプレーをつけて、袋を指で挟んで押さえるとと1回分の香水が出るというものでした。

一般的な香水なら店頭で1プッシュして差し上げるだけで済むのですが、使うタイミングが珍しい香水であることと、容器の面白さからブランドの斬新さをふんだんにアピールされていると感じました。常に最新を求め続けたいブランドらしさをPRしている事例です。

試供品メリット⑥|ワンポイントアドバイスで信頼度UP

スタッフであれば知っていて当たり前だという常識でも、お客様にとっては目から鱗な知識であることが多いです。

知識レベルは低くても構わないので、何かしらのノウハウを添えて試供品を渡せば「お得感」や「プロならではの視点」を提供でき、これが繰り返されるとお店の信頼に繋がっていきます。

MEMO
「シャンプーは、まずお湯で頭の汚れをサッと落として、手で泡立ててから頭につけた方が良い」、「香水の香りをほんのりと香らせるには足首かお腹につける」など、私自身、店員さんに教えてもらって知ったこともたくさんあります。

試供品メリット⑦|ネットでは味わえない満足感

インターネットショッピングでは絶対に味わえないのが生の体験です。お店に来たらこんな良いことがありますよと暗にお伝えできるのも試供品の良いところの一つです。

試供品メリット⑧|話のネタ枯渇防止

「今日は何話そう・・・」。販売員の方の中にはこう思ってしまう方もいらっしゃるでしょう。しかし、リピーターのお客様が来店された場合、「前回の試供品はいかがでしたか?」と一言添えるだけで話が次につながります。

店内での滞在時間を自然と長くできるとお客様とのつながりもより深まります。お客様は、店員との楽しい話や商品の体験、新たな情報の仕入れと、来店していただくことのメリットをより深く感じることができるはずです。

試供品メリット⑨|返報性の原理

人間は、好き嫌いに関係なく、なにかをしてもらうとその分何かを返したい欲求が湧くという「返報性の原理」が試供品・サンプルの大きなメリットでもあります。試供品をもらったからこれも買おうなんてことも往々にしてある印象です。好意をしめせば、相手からも好意を向けてもらいやすいというミラーの法則も当てはまりそうです。

店頭で試せる「梱包しない試供品」も活用して

試供品と聞けば、シャンプーや化粧品など小袋に入っていてるものをイメージされる方も多いのではないでしょうか。

しかし、持ち帰ることを前提にしない試供品もあります。店頭で商品を体験してもらうタイプの商品サンプルです。接客型の店舗であれば、商品PRのみならず、その場でお客様の意見も聞けるという一石二鳥な試供品スタイルです。

ドラッグストアには制汗剤や柔軟剤、芳香剤などのサンプルが並べられています。文房具店にはボールペンやシャーペンの試し書きコーナーが設けられていますし、家電量販店の家庭内運動器具を自由に試してもらえるように並べてあります。

ただ、どんなお店に行っても、一部の商品しか試せない印象はぬぐえません。

理由は何となく想像がつきます。例えばシャンプーやリンスです。これらの商品は、企業によって差別化をはかりにくい商品であるためマーケティング戦略が命です。「この商品は良い商品であることには違いない!試供品を実際に使ってもらえればこの良さは確実に伝わる!」というように認知数を増やすための施策として試供品を店舗側に提供することもあれば、匂いのサンプルをつければ、お客様がより選びやすいだろうと考え、匂い玉付きの店内POPを置かれていることもありますね。

消費者目線で考えると試供品があるものだけでなく、興味のあるものは全て試せたら嬉しいと感じられるお客様もいらっしゃるのではないでしょうか。このような目線を重視して「ある商品の全種類を試せるようにする」というのも他社店舗との差別化に繋がりそうです。

また、外資系の石鹸専門店では店頭で石鹸の使い心地の体験を提供されているのを拝見したことがあります。袋に入っている試供品だけでなく、店頭の実際の商品をひとつサンプルように開封し、泡立ち具合の確認、香りの体験など、体験型試供品としてアクティビティ的に提供するのもひとつのアイデアですね。

商品サンプルや試供品の使い方は多種多様です。

当記事が何かのお役に立ちましたら幸いです。

貴社商品がさらに売れるような試供品提供方法が考案されますことを祈念いたしております。